突然ですが、来週からスペイン・サンティアゴ巡礼に行ってくることになりました。しかも一人で!
スペイン・サンティアゴ巡礼というのは、自宅から聖地サンティアゴデコンポステーラを目指す巡礼で、欧州内あちこちに道があります。なんならうちの近所(ドイツ・アルプス地方)にもサンティアゴへ続く巡礼路がありますが、さすがに家から徒歩はつらいので、一番ポピュラーなフランス人の道(カミーノフランセス)を歩いてきます。
フランス人の道は、フランスのスペイン国境付近の、サンジャンピエドポーという長い名前の町からスタートし、ゴールのサンティアゴデコンポステーラまで約800kmの道のりとなっています。ドイツではもともと認知度は高かったカミーノですが、有名なコメディアンが10年以上前にサンティアゴ巡礼をして本を出して以来ブームと言ってもいいほどの人気ぶり。私たちの周辺にも歩いたって人結構いて、いい経験になったとみんな言うのでいつかできたらいいなと思っていました。
なぜ急に巡礼することになったのか
そもそもスペイン巡礼というのは1週間前に思い立ってやる類のものではないのですが、なぜにそうなったのか簡単に説明します。
ドイツでは節目の誕生日を大きく祝う風習があって、今年の夏、義理の両親とアメリカ旅行に出かけたのも義母の60歳の誕生日祝いのためでした。義母と私、ちょうど20歳離れているので、私も今年の11月6日でちょうど40歳になります。個人的に40歳というのは結構重要な節目で何か記念になることをしたいなとずっと考えていました。
ちなみに30歳の時は初めてタイにバックパッカーの旅に出かけました。この時に旅に目覚めてしまい、34歳から4年半も旅していたので、まだまだ見たいものはたくさんあるけれども、死ぬまで見たい絶景系は割とたくさん経験できました。今はドイツに定住していますが年間の3分の1くらいは旅をしていて、普通に旅するだけでは普段と変わらないので、どうせチャレンジするならば難易度の高い山に登ったり、長距離のトレッキングツアーをやり遂げたいなと考えて数か月前からちょっとずつ調べてました。
が、やってみたい長距離トレイルは11月はオフシーズンのところばっかり!アルプス山脈の山小屋は10月の半ばには閉まってしまうところばかりなのです。11月というのは日本も雨が多い時期ですが、ヨーロッパでも似たような感じで登山シーズンは終了したけどスキーシーズンはまだ始まらないというなんとも中途半端な季節なのです。
ネパールでエベレスト街道にチャレンジというのもずっと頭にあったのですが、夫の仕事の都合上何週間もオフラインでいられないので今回は無理そうって、まだ比較的暖かいイタリアの南チロルあたりで1週間くらいトレッキングしようと半分決まりかかってたときに舞い込んだ1カ月のタンザニア出張。普段なら私も一緒に行くのですが、なぜかその話を聞いたときに口から滑った一言。
「そしたら、私は1カ月カミーノを歩いて誕生日にサンティアゴコンポステーラに到着するから、出張が終わったら迎えに来てよ!それで誕生日はスペインでおいしいタパス食べよう!」
冗談のつもりで言ったのだけど、一度頭にこびりついたアイデアというのはなかなか簡単に消せないもので、まあ無理だろうけどそんなに急にサンティアゴ巡礼ができるものなのか、調べてみることに。
・・・でも予想を反して調べれば調べるほど行けそうな気がする。
というのも10月というのは暑すぎずサンティアゴ巡礼にとても適している季節な上に、夏のピークシーズンも終わり混雑も避けれるらしい。しかもフランス人の道は32行程で歩くとちょうどいいとされている道なので11月6日の誕生日までにサンティアゴに到着するのに間に週1で休憩を入れられる絶妙な長さ。距離は長いけれども、初日以外の高低差はたいしたことなく、普段から頻繁に登山しているから体力的にもできそうな感じ。そして行き先は大好きなスペイン!歩き続ける日々でもご褒美としてタパスが待ってると思えば一人でも頑張れそうだ。
これは行くしかないかも?
行くか!
ということで発言から2時間後にはスタート地点の最寄り空港であるビアリッツ行きのフライトをブッキングしてました。
勢いですね、完全に。
考えてみれば夫と出会ってから18年、10日間以上離れ離れだった事、一度もないかも。
だから毎日20km以上歩くことより、一人で旅することのほうが不安です。夫は最初はびっくりしてたけど、絶対いい思い出になるよとノリノリな感じです。11月6日にサンティアゴデコンポステーラで再会する予定なので、それに合わせて夫もフライトチケットを手配済み。たどり着けなかったらどうしようという不安もありますがまあなんとかなるでしょう。
サンティアゴ巡礼、基本装備
前置きが長くなりましたが、サンティアゴ巡礼、準備編です。
サンティアゴ巡礼の持ち物は山小屋登山の持ち物と似てます。山小屋の代わりにサンティアゴ巡礼では各町に用意されたアルベルゲと呼ばれる宿泊施設に泊まります。アルベルゲは大型のホステルドミトリーみたいな感じで、毎日シャワーも浴びれるので山小屋より豪華ですね。
というわけで、私の基本装備は普段山登りに使っているものを持っていきます。
Deuter AIRCONTACT LITE 35 + 10 SL
バックパックは40リットルくらいのものがベストらしいです。山登りの経験からですが何日も続くツアーの場合リュックの快適さはめちゃくちゃ重要です。体に合っていないリュックは肌がすれて痛くなるので安物はあまりおすすめしません。一度夫のバックパックを背負ってトレッキングしたことがありますが、背中の長さが合わないと本当につらいので女性の皆さん、サイズの合ったバックパック持っていきましょう。
ちなみにDeuterは外国でドイツ人を見分ける重要なアイテムで、Deuterのバックパックを背負ってる西洋人の多くはドイツ人かドイツ語圏の人です。その上Jack Wolfskinのアイテムを持ってたら100パーセント。逆にフランス人はMillet率高いです。
Quechuaのミドルカットトレッキングシューズ
庶民の味方、Decathlonのトレッキングシューズです。ここ1年半くらい愛用しているもので100ユーロくらいしかしなかったのにとても快適です。サンティアゴ巡礼の道は舗装されている道もたくさんあるらしく、トレイルランニング用の軽めの靴なんかも人気らしいですが、個人的に10キロ近くの荷物を背負っているときは、どんな道でもソールの硬いトレッキングシューズ一択です。夏場だったらローカットの方が快適そうですが、10月のカミーノは真夏ほど暑くないのでミドルカットで行きます。
宿用、シャワー用。5年くらい前にメキシコで買ったもの。旅するときは必ず持っていく必須アイテムです。
普段散歩のときに履いてる軽いスニーカーです。これは町歩き用。夏場だったらシャワー用のビーチサンダルで兼用できますが、10月から11月初旬はサンダルでうろうろするには寒そうなので持っていくことにしました。
折り畳めるトレッキング用のストック。折りたためるのでコンパクトです。個人的にストックは山登りの時は下りしか使わないのですが、あるとないでは膝の負担が全く違います。砂利の道だと滑り止めにもなります。カミーノは高低差があまりないのでなくても大丈夫かなと思いましたが、長距離歩くので膝の負担を軽減するために持っていきます。
私はサングラスをよく地面に落とすので20ユーロくらいの安物です。必須アイテムですね。
普段からトレッキングに使ってるキャップです。多分こういうキャップよりもツバが広いもののほうが耳や首が焼けなくていいのだと思います。朝晩の寒さ対策のためにウールのキャップもバックパックに忍ばせてます。
これも普段からバックパックの端っこにいつも入ってる手袋。夏場でも薄手の持ってると便利です。
登山用のバックパックにいつも入れてるヘッドライト。
夏が終わり最近どんどん日の出が遅くなってきているドイツですが、スペインの日の出はだいたい8時くらいとさらに遅いので必須アイテムですね。
アルベルゲのベッドは基本マットレスと枕しかないそうなので、これも必須。Deuterの片手に乗るコンパクトサイズのもの。重さは650gと軽いです。使用温度目安は13度くらい。テント泊でないので春夏秋ならこれで余裕だと思われます。
包帯、ガーゼ、アルコールパッドなんかが入ってる基本的なものです。軽いのでいつもバックパックに入れっぱなし。
いつも持ち歩いているもの。ナイフ、ワインオープナー、栓抜きのみのシンプルなやつです。
果物を切ったり、サラミを切ったり大活躍。
これも愛用している1リットルのもの。バックパックのサイドのポケットに出し入れしやすいスリムなサイズのものです。重装備でバックパックを下ろさず水ボトルに届かないのって結構疲れます。
安いけど丈夫なカシオの腕時計です。
衣類
10月は25度くらいになることもあれば、朝晩は10度以下の時もあるので真夏のサンティアゴ巡礼よりもやや荷物は多めかも。重ね着で温度調整です。
普通のTシャツと山用のTシャツの差は、速乾性です。山用のは汗かいても乾くのが速いので冷たくならずにさらっとしてます。洗濯するときも洗濯機から出した時点でほぼ乾いてます。なので手洗いがメインのカミーノでも大活躍の予定です。レギンス用に1枚は丈がやや長めのもの。
ファスナーで分かれてショートパンツにもなる典型的なトレッキングパンツです。
うちの近所の山ではジーンズで山歩きしてる人もたまに見かけますが、トレッキングパンツは歩きやすいし、汚れにくいし、雨が降ってもすぐ乾くしやはりあると便利です。
これは行き帰りの飛行機でも履けるし、歩く時にも履けるし、町でも履けていいかなと持っていくことに。
ヨーロッパアウトドア界ではレギンス流行ってます。日本の山ガールみたいにショーツに合わせてとかでなく、潔くレギンスのみが多数派です。トップスも普通の丈で夏場ならスポーツブラとかです。私の山友女子たちもこぞって履いてます。個人的には岩や地べたで休憩するとき薄いのが苦手なので山ではあまり履かないですが、カミーノは町も多いので。
これも飛行機、町歩き用。上のレギンスと合わせて使う予定。アウトドアメーカーの作ってるワンピースは普通のと違ってたたんでもしわができ辛く嵩張らないのがポイントです。だからバックパックの端っこに忍ばせておいても邪魔にならない。メリノウールで軽くて乾くのも早いしおすすめ。
肌寒いときに着る用の薄手のフリース。今年の夏の山頂、山小屋で大活躍でした。
夏の登山用に使っている軽くてコンパクトなレインジャケットです。耐水圧10000㎜のもの。
ポンチョはDecathlonのやつ。バックパックの上から着るやつです。
ものすごく寒いとき用。軽くて便利なのでここ5,6年愛用してます。
靴下は足を守るためにも重要です。トレッキング用のはだいたい2重になっていて値段も安くないですがあるとないでは快適さが違うので必須。
下着はすべてユニクロです。ユニクロ、ドイツにもあるのですよ。支店はミュンヘンにはないので専らオンラインショップで購入してますが、ユニクロのドライの下着は乾きも早いし軽いので登山向きです。ブラトップはシャワー後と飛行機、町用。
軽くて薄いヨガ用のフリースパンツ。主に寝るとき用。
サンティアゴ巡礼、その他ギア
安いウェストポーチです。携帯、パスポート、滞在許可カード、お財布、クレジットカードを持ち歩くのに使います。
食料品をいれたり、買い物を入れる用の袋。かなり小さくなるタイプのものです。
アレルギーはないけれど、山に登るとすぐ鼻がたれるのはなぜなんでしょうね。これがないと歩けません。トイレットペーパーも兼ねて使います。ちなみに欧州のポケットティッシュは日本のものの10倍くらい丈夫に出来ています。
これも旅の時に使っているやつ。
ナイフ、フォーク、スプーンのセット。プラスチックの軽いもの。
耳栓、苦手なのですがないと寝れないらしいので持っていきます。
ドイツのカミーノガイドブックは赤いのと青いのがあって、だいたいみんなどちらかを買うらしいです。私は地図が詳しい赤いバージョンを買いました。実はまだぜんぜん開いてないのですが、宿で暇なときに読もうかなと思います。
洗面道具、スキンケア等
潔く石鹸だけとかにしたいけど30日以上続くカミーノ、疲れたときに肌が荒れてると心も荒れそうなので小さいサイズをちょっとづつ持っていきます。小分けボトルは無印で購入。無印がミュンヘンにあってよかった!
無印のオールインワンジェル。スペインはおそらく乾燥が酷そうなので保湿は重要かなと思い持っていくことに。
ドイツのメーカーで、体顔すべてに使える敏感肌用のクリームタイプのローションです。これも乾燥対策。
これ日本にもあるのですかね?山行くときに便利なので愛用している石鹸です。これ一つで顔、体、頭すべて洗えて、洗濯、食器洗いもできます。で、生分解性100パーセントなので自然にも体にも優しいアイテムです。
石鹸で髪を洗うときしむので、たまに使う用に極小ボトルに入れて持っていきます。
これはドイツ人のカミーノパッキングリストに必ず載ってるアイテム。私も長距離歩くときに使ってますが、これを塗ると豆知らずで足柔らかです。鹿マークの通り、鹿の脂肪が入っているクリームです。
これは持っていかなくてもいいかもと思いましたが、ベッドバグやダニに刺されやすい体質なので保険のために持っていきます。ちなみにアフリカ旅用に日本に行くといつも大量に買って持って帰ってきてます。
これも無駄な気がしないでもないけど、色々なもの(靴、服、マットレス)の消臭用に極小ボトルで。
日本で買いだめした日焼け止めを一つ顔体兼用で使用。日本の日焼け止めを使うとドイツのは使えなくなります。
普段からあんまり化粧しないので最低限のみ。
・アイブロウペンシル
・アイブロウコート←ダイソーでまとめ買いしてきたもの。これで登山中暑くて顔を洗っても眉なし状態にならないので重宝してます。
・マスカラ←私のドイツの友人たちは化粧はあんまりしないけどマスカラだけはつけるって人が多いです。使うかな?と疑問ですが重くもないので一応持ってきます。
・ペンシル型のアイシャドー
・毛抜き
・小さなヘアーブラシ
・洗顔用ヘアバンド
乾燥対策に。色付きでもいいかも。
薬局はスペインにもたくさんあるので鎮痛剤のアスピリンCと腹痛用の薬のみ持っていきます。サプリはマグネシウム。これを飲むと筋肉痛にならない。
1カ月以上なので伸びること間違いなし。私の足の爪は長すぎると隣の指に食い込んで痛いので必須。
ムダ毛の処理用。
我が家では虫刺されから筋肉痛までタイガーバーム大活躍です。
何処でも買えるのでナプキンを2枚ほど
食料品
歩けばおなかがすくものです。カミーノの場合、町を通るのでそんなにたくさん食べ物を持っていく必要はなさそうですが一応最低限のものを用意しました。
こういう系のおやつはドイツではドラッグストアやオーガニックスーパーにたくさん売ってます。
グリーンティ、ハーブティをいくつか。
普段から日本食を常に食べているわけでないので特に持っていくつもりはなかったのですが、無印に行ったときにこのフリーズドライの雑炊とお味噌汁を見つけたので試しに買ってみました。おかゆとか体調崩したときとかに重宝しそう。
のど飴はちょっとエネルギー不足の時とか、喉が乾燥するときの救世主です。ガムは常にカバンに入ってるくらいよく噛みます。おかげで虫歯ゼロ。
頻繁に自炊することはない気がしますが、野菜不足になりそうなので軽くてあると便利な以下の3種類。ちなみに塩なんかは宿にあるらしいです。
出汁の素
コンソメキューブ
粉末サラダドレッシング←ドイツのスーパーならどこでも売っているものです。水やオリーブオイルで溶かすとドレッシングになります。
貴重品
貴重品はまとめてウェストポーチで管理。宿での管理もですが、スペインの大きな町はスリも多いので要注意ですね。
日本のパスポートとドイツの滞在許可カード。
クレジットカードは世界中で手数料無料でATMが利用可能なサンタンデール銀行のものとマイルを貯めるために使っているアメリカンエクスプレス。
カミーノの宿は現金払いが多いらしいのでキャッシュは必須ですね。
いつも使ってるやつです。カメラ、地図、調べもの、読書、目覚まし、夫とのコミュニケーションすべてこれで済ますのでなくさないように注意しなくてはですね。GPSを使っているとバッテリーの減りが速いので予備のモバイルバッテリーも持っていきます。
これだけ詰めて気になる総重量は?
なんだか色々持っていきすぎな感じですが、総重量は約8㎏。
もうちょっといくかなと思ってましたが、山グッズというのは軽いものが多いので満足する重さとなりました。
本来なら体重の8分の1くらいがちょうどいいらしいですが、難しい。でも世界を旅しているときはだいたい10キロくらいの荷物で旅していたので、それよりは軽いからか背負ってみた感想は意外と軽いかも?
でも800kmも歩いていると重く感じるようになるのでしょう。
とりあえずこれで出発してきます。
持ち物リストは巡礼後にアップデートする予定です!
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